「ぶっ、無用心だなあ大家さん!鍵はちゃんとかけなきゃいけないんだゾッ☆」
わざと明るい声を出しながら、電気の付いていない廊下を歩進んだ。
大丈夫、大丈夫。
リビングに入ったら何でもない風に大家さんがパソコンに向かっているんだから。
そう自分に言い聞かせ、私は勢いに任せてリビングに入った。
そこにはいつものように原稿を打つ大家さん……ではなく。
散らかった本の間に倒れた大家さんがいた。
「ちょ、え、大家さぁぁあぁぁぁん!!」
行き倒れたように床に伏せた大家さんは、動く気配も見せない。
近付いてAボタンを押したら『返事がない。ただの屍のようだ』と言われそうなくらい、微動だにしないのだ。