「大家さーん、お腹空きましたー」


一向に返事の聞こえてこない中に向かって、声をかける。

バイト帰りのマイボディが大ブーイングをあげていた。


「………?」


流石に不審だと思い、ドアノブにそっと手をかける。

その瞬間私の脳裏には、2時間ドラマの殺人現場がよぎった。


鍵の開いた家、リビングに倒れる人影、血に染まるカーペット……定番のシチュエーションだ。


まさか、大家さん……?

ゴクリと生唾を飲み込み、ゆっくりドアノブを回す。


――――鍵は、かかっていなかった。


「なんと……!なんてことだ大家さん!」


急に動悸が激しくなった心臓を落ち着かせるように、そろりと足を入れる。

もう慣れた玄関口だ。

奥に見えるリビングには灯りもついている。