幸運にも、一番端の棚が恋愛モノをまとめているやつだった。

『燃え上がるような恋をしよう!真夏の恋愛フェア』と書かれたポップを見る限り、きっと期間限定の棚なのだろう。


ユウ、ユウ……と作者を見ていくと、同じ棚を見ていたお姉さんとぶつかりそうになる。

見た目は20代前半くらい、肌がきれいな人だ。


お姉さんに謝って、もう一度探す。

すると、彼女の手に取っていた本に『ユウ』という文字が見えた。

その本を買うのか、お姉さんは持ったままレジに向かい、私はさっきまで彼女の居た場所に収まる。

そしてその手元に……あった。


『金平糖の愛した時間 ユウ』


かなり分厚い背表紙に、洒落た字体で書かれている。

棚からその本を抜き、あらすじを読んだ。


『恋に破れ、都会での生活に疲れた23才のナツは、仕事を辞めて田舎に戻る。
そこに新しく出来ていた和菓子屋の店長、ハル。
二人は恋に落ちるが、やがてハルの秘密を知り――』


続いて帯を見る。


『感動必至!!500万人が涙した、究極の恋愛小説』