「そか。大変やな」
「でもまあ、きっと生きてるから大丈夫」
むっちゃんは自慢のショートカットをふわりと揺らして、にやりと笑った。
この顔は……。
「で、で、で?この週末は何かあったんか?あったんやろ?この伊東睦月(いとう むつき)先生に話してみい」
「何かって、何さ」
「決まっとるやん。お隣のイケメン大家と何かあったんか、て聞いとんのや」
観覧車での出来事が瞬時に脳裏をよぎり、顔に血液が集まりそうになる。
それを気合いで止めて、ポーカーフェイスを装った。
「何もないってば」
「嘘やん、そんなんつまらんわ」
「むっちゃんを楽します為に引っ越したんじゃないっつーの」
私の事情を唯一知っている親友を説得していると、HRのチャイムが鳴る。