『取材』。 彼にとって今日1日の事は全部全部、 『仕事のため』の『取材』だ。 「……そう、ですよね。お役に立てたなら幸いです」 顔を見られたくなくて、眼下に広がる町に目を向けた。 まだまだ明るい光は、人間達が活動している証拠だ。 にわかに訪れた沈黙に、中は微妙な空気に包まれる。 二人して窓の外から目を離そうとせず、会話は生まれない。 お互い一言も発さないまま、てっぺんが近付いてきた。 一個上の観覧車を見ると、中には男女のペアがいて……… ………ちょうど頂上に来た時、キスをした。