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「華火、足元気を付けて」

「ありがとうございます、裕」


先に入った大家さんに手を引かれ、観覧車の椅子にストンと腰をおろした。

私と大家さんが向かい合う形で座る。


「今日はありがと」


私達を乗せた観覧車が地上を離れてすぐ、大家さんが言った。

もう暗い窓の外を見ながら、微笑を浮かべている。


「そんな、こちらこそですよ。色々高いものまで買ってもらっちゃって……」

「いや、お陰でいい取材が出来た」


大家さんが何気なく言ったその言葉に、心臓の根っこの辺りが、ずきん、と痛んだ。