仁王立ちの体勢で、大家さんを見る。

私の気迫に押されたのか、いつもより若干小さく思えた。


「…………取材、もう終わりでいいですか」


床に正座した大家さんの脇に置かれた、たくさんの紙袋を拾う。

この人は、今日だけでいくら使ったのか。

……袋の中身はほとんど私のだけどね。


「待って!じゃあせめて最後に……」


両手じゃ持ちきれない量の荷物をどうにか指に引っかけ、持ち上げる。

が、かなーり重い。

どうしようかと堪えていると、重みが不意に消えた。

ごく自然に紙袋を取られ、軽々と持つ。


「…どこですか」


ちょっとしたプライドが、言い方をきつくさせた。

そんな事を気にする様子もなく、大家さんは本日のメインイベントを私に告げる。



「ここのすぐ近くにある遊園地の、観覧車」



これじゃまるで、本物のデートみたいだ。



―――――――大家さんとおめかし。


トータルコーディネートの総額は、怖すぎて聞けない。