それから階を降りる毎に、大家さんからのプレゼントは増える一方だった。


「普段着る服もいるよね」

「あの、え、」

「日用品も買っとかないと」

「ゆ、裕、その、」

「筆記用具は必需品だよ」

「待って、そんなに、」

「料理道具は……未来永劫必要ないか」

「おい待てこら」

「あっ、下着!!下着買わないと!!」

「いい加減にしなさ―――いっ!」

「ぶぎおらぁっ」


余りにも余りにもな買い物ラッシュに耐えかねて、私のエセ昇龍〇が大家さんの顎にクリーンヒットした。

屍となった大家さんを見下ろして、私は溜まった鬱憤をぶちまける。


「ちったあ落ち着きなさい、あなたは初めて宿泊体験に行った小学生男児ですか?そりゃ色々買ってもらえるのはありがたい話ですが、限度があるんです!」

「う……こ、恋人設定はどこに……」

「大家と賃貸主じゃなくて、彼氏と彼女なんですよね、今日1日。だったら対等な立場で言わせてもらいますよ」