「死んでないですよ、暑くて死にそうですけど。どうしたんですか?」


半袖のシャツにベージュ色のパンツ。

この人がまともな格好をしている姿なんて、初めて見た。


「約束守ってもらわないとだから」

「約束?」

「体で払うって言ったじゃん」


私の頭の上に、クエスチョンマークが浮かぶ。


「それなら、掃除したじゃないですか」

「家賃かなり下げてあげたのに、まさか掃除くらいで済むと思ってたの?『まずは』掃除って言ったから、本命はこっち」


にこ、と笑った大家さんが、私の全身を上から見る。


適当に後ろでしばった髪、着古しすぎてくたくたのTシャツ、丈が短くショートパンツ状態のジャージ。

こうしてじっくり見られると、あまり人様に見せられるような格好じゃない。