「この味は………」


信じられない、とでも言いたげな表情で、大家さんは紅茶を見つめた。

妙に劇画タッチに見えるのは、私の気のせいだろうか。


「こ、この味は……………?」


隠し味がキマってる、か。

砂糖の甘さがちょうど良い、か。

こんな紅茶飲んだことない、か。


ドキドキしながら次の言葉を待つ。


重々しく開かれた大家さんの唇。

放たれた言葉は――――。















「驚くほどにクソ不味い」















「え?」

「いや、すごいわこれ。こんな紅茶飲んだことない」


言われたい事は言ってもらえたが、こんなテンションと意味合いは望んでいなかった。


「何これ、何混ぜたらこんな味になんの?奇跡だよ、もはや神業としか言えないよこの味」