アディダス!と店長の叫び声がこだまする。(たぶんアディオスと言いたかったんだろう) みるみる小さくなっていく店長の背中を追いかけることは諦め、私は手の中の携帯を見つめた。 「……あんのオカマ野郎」 ってかあんな物騒な連絡聞いて、高校2年の麗しい女の子を一人で帰すか普通! 「それでも男かァ―――っ!」 静かすぎる辺りに私の声が反響し、それで我に返る。 そもそも店長は男じゃなくてオネェだった。