閑静な住宅街。

私と店長の間に沈黙が流れる。


元の待ち受け画面に戻った携帯をそっと握り、店長を見た。

店長にも今の留守電が聞こえてたみたいだ。

私が何か言おうと口を開く前に、店長が一歩下がった。


「……じゃ、役目は果たしたワ。華火ちゃんお疲れ〜」


ちゅっ、と投げキッスをした店長は回れ右をし、脱兎の如く駆け出そうとする。


「ちょっ、待ってくださいよ店長!!今の聞いてましたよね!?」

「今のって何?外人のおしりはキュートで可愛いって話なら一晩付き合ってあげるけど、それ以外は基本ノーサンキューだから私」

「うちの父がなんか大変なんですって!」

「ごめんね華火ちゃん、私これから二丁目のクラブでパーティの予定が入る気がするから失礼するわ」