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「と、まあこういう訳でして」


大家さんが入れてくれたお茶を一口飲んで、コップを机に置く。

不動産屋さんが聞くのは2回目の話を、前に座るふわふわイケメンに一生懸命説明した。


家に借金があったこと。

父親が逃げたこと。

やばい人達に終われていること。


時折オーバーに言いつつ、ナチュラルに嘘も織り混ぜ、聞くも涙、語るも涙の奮闘記を声高に謳う。

大家さんはたまに欠伸をし、どこを見てるのかわからないような瞳を宙にさ迷わせていた。


「…あの、聞いてますか?」

「あ、うん。要するにお金がないんだよね」


くあ、と大きい欠伸をまたして、大家さんが核心をつく。