「ガリガリ君も買えないなんて……」


さっきから独り言ばかり言う私を見て、向かいに座っていた主婦が子供を連れてそそくさといなくなったが、
知ったこっちゃない。

こっちは今日生きるか死ぬかが懸かっているんだ。


電源の切られた携帯を出し、ぼんやり見る。

最初こそお父さんからの電話を待って電源を入れていたけど、諦めた。

800万なんていう大金、2、3日で返せるわけがない。

家はもう完全に取り押さえられていて、お金が底を尽きた瞬間私は野垂れ死ぬ。

今もホームレス状態だけど……。


自嘲気味に笑ってから、私は心を決めた。


家を、探すしかない。