「何ですか、これ」
「さっき華火ちゃんのパパさんからお電話があったのよ。留守電入ってるから聞いてみて」
「はぁ……」
携帯を受け取り、受信履歴を開く。
……あった。お父さんの番号だ。
留守電マークを押し耳に携帯を当てると、ガサついた音のあとに切羽詰まった様子のお父さんの声が聞こえてきた。
『――なび?華火、聞こえてるか?
お父さん今ちょっとやばい事になっててな、お前もバイトから帰ったらすぐに荷物をまとめなさい。
それから、アパートは非常階段から上がるんだ。いいか、静かに準備するんだぞ。
実はお父さん……まずい。静かにだぞ――』
「………………」
「………………」
プツッ、と音がなり、再生が終了した。