大家さんはふう、と息を吐いて携帯をポケットにしまうと、おもむろに家の鍵を開けた。
「とりあえず中入って」
立ち話も何だから、という事かな。
開かれた扉に体を滑り込ませて、とても久しぶりに感じる大家さんの家に入った。
大家さんも私に続いて入って来、内側からしっかり施錠する。
家主である大家さんより先に入っていいものか迷い、靴を脱がずに立っていると、彼は体を反転させ私と向かい合った。
私の背にはドア、目の前には大家さん。
お世辞にも広いとは言えない玄関で、私達は何故か見つめあっていた。
いや、私がかなり一方的に見つめられているんだけど。
「……あの、大家さん?」
何か黒いオーラを出している大家さんを、恐る恐る見上げる。
