「それで、あの……」
コードを踏んだときの感触が、大家さんの舌打ちが、フラッシュバックする。
込み上げて来そうになる涙を堪えて、奥歯をぐっと噛み締めた。
「パ、パソコンの電源ブッチしてすみませんでした。謝って済む問題じゃ、ないんですけど……」
顔を上げるのが怖い。冷たい目をされるのが怖い。
だけど、そんなのはねじ伏せろ。
「本当に、すみませんでした」
頭を下げたまま大家さんの返答を待つ。
目に見えている足は全く動く様子を見せない。
どれくらいの間そうしていただろうか。
頭に血が溜まり始めて、顔が熱くなってきた。
「……………もう、大丈夫」
「えっ」
予想だにしていなかった言葉に、思わず顔を上げてしまう。
もう?大丈夫?
