大家様は神様か!


「……それ」


大家さんもまさか自分の本を出されるとは思っていなかったらしく、驚いて目を丸くした。


「これ以上ないってくらい泣いて、今もちょっと目が腫れてます」


へへ、と照れ隠しにはにかむと、大家さんは何とも言えない顔をしている。

口がもにょもにょと動いていた。


「…………ありが、とう」

「あ、それから」


本題を忘れる所だった、危ない危ない。


『誠意を見せて謝りや』


むっちゃんの言う通り誠意を見せるため、私は本を持ったまま立ち上がった。

腰を半分に曲げて、頭を深く下げる。


「この間は、すみません。なんか勝手にキレたり色々やらかしまして……」


視界には足とコンクリートしかない。

大家さんは今どんな顔をしているんだろう。