「……………そういや居ないんだった」
インターホンを鳴らしてから、今日大家さんが留守な事を思い出した。
とは言え、今のこの興奮した気持ちは簡単には収まりそうもない。
何より、今日中に謝ってしまいたかった。
「待とう」
大家さん家のドアの前に座り、スタンバイ完了。
あとはハチ公の如くここで待っていよう。
大家さんが帰ってきたら、まず始めに謝るんだ。
それから本の感想を伝えて、それから――…
「――――火?華火?華火?」
誰かに肩を揺すられて、私は重いまぶたを持ち上げた。
いつのまにか、自分でも気づかないうちに眠ってしまっていたらしい。
