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1時間後、私の顔は、今朝よりもひどいことになっていた。
「ゔっ……ナ゙ヅぅ……可哀想過ぎるよぉぉ…」
感涙、としか言えない。
中盤の2人のすれ違いの辺りから既に涙ぐんでいて、このままラストまで読んだらどうなるんだろう私、と思っていたけど、予想通りだった。
予想通り大号泣だった。
読者の期待をいい意味で裏切り、最後は切なすぎるエンド。
ハッピーエンドとバッドエンドの中間、胸が締め付けられるような切なさ。
確かに煽り文句に『涙が止まらない』と書いてあっても頷ける。
「……感想を、伝えねば」
今なら、素直に謝れる気がした。
悲劇を見たら魂が浄化されるとよく言うが、まさにそんな感じだ。
菓子折りと今しがた読み終わった本を持って、私は家を出る。
