仰向けになり、目をつむる。
………私は、大家さんの事が好きなのかな。
まともに恋を経験してなくて、この感情を何て言うのかがわからない。
親愛?友愛?
誰かここに来て教えてほしい。
この、私の胸の中にもやもやと燻った何かは、恋と呼べるものですか、と。
「……………大家さんが、すき、です」
しっくり来るような来ないような。
むずむずして、ふわふわして、だけど不思議と嫌な気はしない。
ごろんと寝返りをうつと、本棚が目に入った。
気が向いたら読む程度の文庫本が並ぶ中、一際分厚いハードカバーは、どうしても目を引く。
『金平糖の愛した時間』
買ってから読まずじまいだった、大家さん――ユウの、本。
本棚からすっと抜き取って、表紙を開いた。
