大家様は神様か!



「……華火、また一段とやつれとるやん」

「あ……おはよーむっちゃん………」


寝不足のクマが追加され、私の顔色は更に悪くなっていた。


「なんや、結局解決できんかったんか」

「うん……勇気が出なくて……」


力なく笑う私を見て、むっちゃんは大袈裟な溜め息をつく。

それに反応して顔を上げると、デコピンが飛んできた。


「いてっ」

「あんなぁ、華火は難しく考えすぎるんや」

「そんなことな……」

「あるて。どんな喧嘩なんかはわからんけど、誠意持って謝れば大抵の事は許してもらえるねん」

「でも、取り返しのつかない事なら、」

「そんなら尚更謝らんと。華火は今後、その隣人さんと縁切れてもええんか?」


むっちゃんの真っ直ぐな目に見つめられ、大家さんの顔を思い浮かべる。


「…………嫌だ」

「だったら謝るしかないやろ。1回で駄目なら2回。それでも駄目なら3回。許してもらえるまで謝りや」