カチャン。
郵便受けに、鍵が入っていく。
「……………また明日だ」
長引けば長引くほど謝り辛くなる事は、わかりきった事だ。
だけど拒絶されるのが怖くて、もう一歩が踏み出せない。
額から流れた汗が目に垂れてきて、涙のように目尻に溜まり、やがてスーッと落ちていく。
明日こそ、と意気込んで家に入り、ある事に気が付いた。
「……………合鍵まで返しちゃった」
自転車の鍵だけ返すつもりだったのに、これじゃ益々「関係を断ち切ろう」と言っているようなものじゃないか。
自分の臆病さに嫌気がさし、むしゃくしゃした気持ちを抱えたまま、私は溶けかかったガリガリ君に食らいついた。
