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ごめんむっちゃん、臆病な私を許して。
むっちゃんに買ってもらったガリガリ君を片手に、私は大家さんの家の前に立ち尽くしていた。
猛暑日と呼ぶのに相応しい熱気。
ソーダ味のガリガリ君がとけて、コンクリートの床に染みをつくる。
「ピンポンして、昨日はごめんなさいって言うだけだよ、うん」
帰る途中でデパートに行って、お詫びのお菓子も買った。
ただ、インターホンが押せない。
大家さんの舌打ちが脳裏にちらついて、私はそこで立っているだけだった。
汗が止めどなく流れ、だんだん意識もぼーっとしてくる。
長居はまずい、せーので押すしかない。
心の中でカウントし、0になった瞬間、私は手を伸ばした。
