「何や華火、死にそうなツラしとんなあ」


朝、登校してきたむっちゃんは、開口1番私にそう言った。


「うおっ、しかも華火が10分前に席についてるやん!こいつぁ雪が降るでぇ…」


派手な黄色のリュックを置き、むっちゃんが窓の外を見る。

今日の朝はどうしても大家さんに会いたくなくて、いつもよりかなり早めに家を出たのだ。


「……お゙はよお゙むっちゃん゙ん゙ん゙」

「ゾンビみたいになっとるで」


青い瞳を訝しげに細めて、むっちゃんが引いた顔になった。

そりゃそうだ。

昨日の夜は一晩中さんざん泣いて、目は腫れ放題で顔色も悪い。

悲しいくらいにバッドコンディションだ。


「とりあえずコレ当てとき」


目元にひやりとした物が当たる。

むっちゃんが飲んでいたオレンジジュースだ。

この子は常に何かしらのジュースを飲まなきゃ死ぬのかな。