大家様は神様か!


どうにか取った鍵を鍵穴にさし、ドアを開けた。

数時間ぶりの我が家。

一目散に自分の部屋に入り、ベッドにダイブする。


「…っ……うぁ…あ……」


枕に顔を埋めて、震えを止めようとするけど、止まらない。


逃げてしまった。

すぐに謝ればよかったのに、何も言わずに逃げてしまった。


――――謝って、許してもらえなかったら?


小説のデータが飛んだ、そう言われた時、私にできることは何もない。


『ユウにとってプラスにはならない』


黒い視界の中、頭の中で繰り返しリピートされる美和子さんの声と言葉が、嫌が応にも重くのし掛かってくる。


今すぐ行って、謝ってこようか。


いや、家に入れてもらえないかも知れない。


声を圧し殺して泣いたまま、私の意識は闇の淵に吸い込まれていく。



―――――――大家さんが嫌いです。



余計惨めになるんだから、優しくなんてしないでください。