「あ……」
足元を見ると、踏んづけたコード。
一端は大家さんの愛機、もう一端は、コンセント。
抜けたプラグ、画面の黒い、パソコン……
バッ、と顔を上げたら、大家さんと目が合った。
驚いているのか、目は見開いたまま。
「…あ……あ…」
言葉が出てこない。
どうしたらいいのかわからないまま大家さんを見ていると、見たことがないくらい怖い顔をしていて、足がすくむ。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
取り返しのつかない事をしてしまった。
「………チッ」
小さく―――本当に小さくだけど、大家さんが舌打ちをした。
その瞬間、私は脱兎の如く駆け出す。
廊下を走り、ドアを乱暴に開け、空が真っ暗な外に出る。
手が震えて家の鍵がうまく掴めない。
