ぽろ、と。
涙が一粒、私の目から溢れて落ちる。
それから堰を切ったように、次から次から涙がこぼれ出した。
頬を伝って、床にどんどん落ちていく。
「でも、このお粥は華火が一生懸命…」
「やめてくださいよ!」
私の叫び声が、台所に冷たく響いた。
違う、違う。
こんな事を言いたいんじゃない。
不味い料理を美味しいって言ってくれて嬉しかったんだ。
だけど口をついて出るのは、嫌になるくらい子供っぽい拒絶の言葉。
「不味いなら…不味いって言ってくれればいいじゃないですか!」
涙で視界がにじむ。
ぼやけた先にいる大家さんの表情はわからないけど、きっと呆れてるに違いない。
もう、嫌だ。
