息が止まるかと思った。
こんなにはっきり言われるとは思ってなかったので、頭の中に氷を直接ぶちこまれたかのような衝撃だった。
「じゃ、渡しは帰るね。華火ちゃんも早く家に入んなね」
言いたいことは全て言ったとばかりに美和子さんは踵を返し、高いヒールの音を響かせながら帰っていった。
その後ろ姿を黙って見つめると、目に何か熱いものが込み上げてくる。
―――私に泣く資格なんてない。
「美和子ー、誰としゃべってんの?」
溢れそうになった涙を無理矢理拭っていると、私達の声が聞こえたのか、大家さんが出てきた。
熱冷まシートを貼り付けたまま、半分開いたドアの向こう。
よれよれスウェットの大家さんが、私の顔を見て固まった。
