冷蔵庫の中から冷やご飯入手。

おなじく冷蔵庫から、卵、加えて人参等の野菜類もゲット。

鍋の位置確認完了。

……………準備は整った。


「片岡華火、お粥作りを始めます」


用意した材料達を前に厳かな声で一礼する。

お粥。

それは、病人でも食べやすく、消化のよい料理の代名詞。

熱にうなされている大家さんにとって、お粥より良い選択肢はないだろう。


実を言うと、お粥を作るのは初めてじゃない。

片岡家は母を亡くして以来、家事は父、家計は娘と役割を分担していた。

しかし、その父が熱でぶっ倒れた事が一度だけある。

その時お粥を作ってあげたら、お父さん泣きながら食べてくれたなあ……。

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら私のお粥を食べるお父さんを思い出すと、自然と口角が上がってしまう。