「お疲れ様でしたー」


バイト先のコンビニから出ると、夏特有の生暖かい風が頬を撫でた。

時刻は10時35分。

昼から夜までシフトに入っていて、さっき深夜組の大学生と交代したところだ。


「…ちゃーん!華火ちゃーん!」


裏口から出て帰路につこうとすると、背後から店長の声がした。

振り返ると、エプロンをつけたままの山崎店長(42才・独身・オネェ)がこちらに走ってくるのが見える。


「どうしたんですか、店長」

「それが、言い忘れてた事があってぇ……」


荒い息で肩を上下させながら、店長が私に携帯を差し出した。

どういう意味だろうか。