「ん…ぅ」


「! アレン?」


「………すぅ」


「…まだ寝てるのね」


寝返りを打って自分に背を向けたアレンを見て、レイは苦笑してまた紙に視線を落とした。


さらさらとペンを走らせ、しかしちらちらと彼を盗み見る。



そうして30分が過ぎ、アレンには一時間しか時間がないとマケドニスに言われていたレイは、無意識にそわそわと落ち着きがなくなっていっていた。



寝かせてやりたい、


けどお話もしたい。



アレンが自分から起きないか、などと少し期待していたが、彼に限ってそんなことはなく。




(…もうっ、アレンのお馬鹿)


疲れているのはわかっているが、それでもレイはそう思わずにはいられなかった。


ぷくっと膨れながら席を立ち、アレンが横たわるソファーへ向かう。



「アレーン…?」


呼び掛けてみたが、やはり反応はなかった。


当たり前、あの三度の飯より睡眠なアレンである。


今もソファーの背もたれに体を向け、すぅすぅと寝息をたてているのだ。



むっとしたレイは背もたれに手を置き、膝をついて彼の顔を除き込んだ。



そして、ゆっくり手を伸ばす。






 ――…むぎゅ。