〔アレンったら照れ屋なのね。そんなところにまた惚れちゃう~っなーんて!〕
また抱き着こうとしたリップルから逃れ、アレンは寒さに身震いした。
この真冬日にこんなびしょ濡れで冷たい風にさらされていたら、確実に風邪を引いてしまう。
「アレン様、早く中に…。着替えないと」
「わかってる。リップル、邪魔だしお前さっさとどっか行って隠れとけよ」
困惑しながらも言う側近に頷き、アレンはもう一度水魔を見上げ念を押した。
〔ツンデレ!?ツンデレなのね!?〕
「…違う。ここにいるなっての」
〔ケチぃ~〕
拗ねる水魔を無視して歩き出した勇者は、くしゃみを一つして側近に心配をかけていた。
その後ろ姿を見送りながら、リップルはにっこり笑う。
〔相変わらずカッコイイ~♪絶対諦めないんだからっ〕
しぶとい彼女は歩み去る勇者に寒さとは別の身震いをさせたとか。


