「もういいからどけっての。マケドニス、助けろ」


ずぶ濡れになりながら側近に命令した勇者は、むすっとしながら水魔を押し戻した。


慌てて手伝うマケドニスは唖然とした表情を隠せない。



「アレン様、これ何ですか?」


「水魔だ」


「水魔…?」


「あんまり知られてないけど…そういうのがいるんだよ」



確か炎魔やら雷魔やら風魔やらは、大人しく人間に見つからないように隠れて過ごしている筈だけど。



そう付け足してマケドニスからタオルを受け取ったアレンは、リップルを軽く睨む。



「お前もそうしとけよな…。変なのが寄るぞ」


〔きゅーんっ!心配してくれてるのぉー!?〕


「違う。いいか?世の中には密猟者ってのが少なからずいるんだ。お前みたいな特殊な生き物は絶対狙われるぞ」


「…アレン様、何だかんだ言って結局心配してることになりますよ、それ」



否定したものの明らかに気にかけているのがわかるような発言をした主人に、側近は思わず苦笑いした。



違うっつってんだろ、と怒るアレンだが多分自分で気付いていないだけだろう。