「…っ!り、リップル!?」


相手の勢いに背中から思いきり地面に倒れ込んだアレン。


彼は一瞬息を詰まらせてから、驚きにいつもより少し大きな声を出した。



それが呼ぶのは懐かしきあの名前。



リップル――あのサリアンシティで騒ぎを起こした水魔だ。




その水魔は水で出来た身体でアレンにしがみつき、全く離れようとしない。




〔アレーン!やっと見つけたわ!あたしすんごく探したんだからぁっ!!

炎魔やら雷魔やら風魔やら…いっぱいの仲間にアレンのこと訊いたのよっ!〕


「…………………。」


〔どうして言ってくれなかったの!アレンが勇者になってたなんてっ!でもさすがあたしのアレン、魔王を倒したのね!!〕


「……わかったから、どけ」


〔嫌よっ!あたしがどんだけ我慢してたと思ってるの!このまま一緒に…きゃああああ!!〕



リップルは何を想像したのか、急に照れてアレンに馬乗りになったまま騒ぎだした。


その隙に上半身だけ起こし、アレンはかなり迷惑そうな顔をする。



好きなだけ喋ってこれなのだから、そうなるのも仕方がないだろう。