「……冷たい」
「そりゃあそうでしょう」
眉を潜めすぐに手を引っ込めたアレンに、マケドニスは苦笑しながらそう言った。
それからまた噴き上げる水に目を移し、天に上がったそれが淵の中の水溜まりに落ちるのを見届ける。
「………ん?」
「あ?何、マケドニス」
眉を潜め首を傾げた側近に、アレンも眉を潜め声をかけた。
もう寒いから早く帰りたいらしく、体が城の方へ向いている。
「いや…なんか、水面がおかし…」
い、とマケドニスが続けようとした、
――…その瞬間。
〔…ア~~レンんんん~っっ!〕
…甲高い、女の声。
それと共に、ザバァン!という音。
マケドニスが驚きに目を見開くなか水中から飛び出した“それ”は、
唖然とするアレンに
――…思いきり飛び付いた。


