そんなギルクの様子も知らずに、イルはまだニービスと言い争っていた。



「あたしの金魚なんか三年生きてたんだから!」

「甘いな!俺のは五年だ!」



もはや内容は関係ない、といった感じだ。



「ふ~ん、あたしなんか好きな人にプレゼント買ったのよ!あんたそんなことしたことないでしょ!」

そう言ったイルはさっき買ったギルクへのプレゼントが入った袋を取り出した。

ニービスの鼻先に突き出す。


「…誰に?」

「気になるぅ?」

ゆらゆらと袋を揺らし、イルはにこやかに笑う。


「…お前の好きな人なんか気になるか馬鹿!」

「あっ」



ニービスが袋を叩いた勢いで、ギルクへのプレゼントは宙を舞ってそばの草の茂みに落ちた。



「何すんのよ馬鹿ぁッ!」


慌ててイルは茂みに駆け込む。



「ご…ごめん」


素直に謝ったニービスも、手伝おうと茂みに入った。