「俺は一つのことに夢中になれる人は凄いと思うよ。」
レイはその言葉に顔を上げた。
「ママも言ってた。どうして?わたしはもっとみんなで遊びたいのに。」
「いつかわかるよ、レイちゃんにも。」
「…わかんない」
「今はな」
“おにいさん”は優しく言うとレイを抱き上げた。
「…会いたいな。」
「え?」
レイは少し寂しそうな“おにいさん”の横顔をジッと見つめた。
“おにいさん”はマリンブルーの瞳を覗き込むとまた微笑んだ。
「俺にもな、息子がいるんだ。ちょうどレイちゃんと同じ5歳の男の子。
全然、会ってないけど。大切な家族がある。」
「どうして会わないの?」
不思議そうに言うレイに、“おにいさん”は目を細めた。


