不意に、頭上から優しい声。


レイは涙も拭かずに顔を上げた。





「怪我したか?それとも…迷子?」



灰色か黒色かよくわからない曖昧な色の髪をした男の人だ。


レイはその藍色の瞳をジッと見つめた。




「よしよし…どうしたんだ?」




男の人は優しく微笑んでレイの頭を撫でた。


安心してまた泣き出すレイ。




「迷子なの。ママもパパもおにいちゃんもいないの。」


「そうか。…俺が一緒に探そうか?」




泣き続けるレイを見て少し考えた男の人はそう言ってレイに笑いかけた。




「いいの?おにいさん用事じゃない?」


「あぁ、いいよ。今は自由なんだ。」



目を細めて、その“おにいさん”は言った。