「ギぃルク~♪」
トウキシティに響く可愛らしい声。
友達と歩いていた赤毛の少年、ギルクは呼ばれて振り返った。
直後、腹部に衝撃が走る。
「おわッ、イル!抱きつくなよ!」
「あは♪ギルク、お誕生日おめでとう!」
「お、ありがとな!」
頭をなでなでされたオレンジの髪の女の子、イルはえへへ~と笑った。
今日はギルクの13歳の誕生日。
11歳のイルは起きてすぐにお祝いの言葉を言いに走った。
そして、今に至る。
「お前らまるで兄妹だな!」
ギルクの友達が笑いながら隣で言った。
イルはムッとしてさらにギルクに抱きつく。
(違うもん。ギルクはあたしの好きな人!兄妹なんて言わないでよっ)
「だろ!可愛い妹なんだぜ~」
ガーン!
「ギルクの馬鹿ぁ!」
「え?イル?」
ギルクが止めたときにはイルはもう家へと戻っていた。
「何だあいつ?」
「おっもしれ~、ギルク、お前そのままでいとけよ!」
誰から見てもわかるイルの好意に気付かないギルクに、友達は笑って涙目になりながらそう言った。