日が傾きかけている中、イルはひたすら走る。
走る、走る、走る…
ずべしゃっ
…コケた。
「ふぇ、いたぁ~…い」
泣きかけながらも、立ち上がる。
そして、見つけた。
赤い髪の、大好きな人。
今は一人だ。
「ぎ…」
「ギルク君~」
甘ったるい声がして、イルは立ち止まった。
思わず物陰に隠れる。
「ん、何?用って。」
どうやらギルクは呼ばれたらしい。
だから一人だったのか、とイルは納得する。
ギルクはいつでも友達に囲まれているのだ。
ギルクに駆け寄る女の子は、13歳のくせにナイスバディの超美人。
…嫌な予感がした。
そして、それは当たる。
「あのね、アタシ、ギルク君が好き。付き合って?」
そう言った女の子はギルクに擦り寄った。


