「そうなの?好きな教科とか覚えてるの?」


曖昧だが学校はきちんと行っていたという一流に、何気なく聞く私。


「覚えてない……でも勉強は好きだったと思う。オレも勉強したいなぁ。だけどペンすら持てないんだったら、ムリだよね」


「あっ………」


一瞬悲しそうな顔をした一流に、酷い後悔が襲って来た。


一流は見た目はしっかりしてるけど、梓灯の腕がすり抜けたのと同じ様に、物にも一切触れないんだった……


唯一触れられるのが建物で、それ以外はスッカスカ。


布団だって触れなかったからそのまま寝かせたのに、私…忘れてた……