困っているとしたら、心臓がドキドキし過ぎて全然花火に集中出来ない事位だよ………一流のバカ。


「困ってない……嫌じゃないから」


恥ずかしくって花火の音に打ち消されそうな程小さな声だったけど、一流にはきちんと届いたみたい。


まるでひだまりの様に笑ってくれる一流に私も笑い返して、私達は同時に空を見上げた。




「堺さん、国北君、いつかツライ目に遭うのは、アナタ達なのよ………?」




我孫子さんがいつの間にか意味深な言葉と目線をこちらに向けていた事にも気づかぬまま、私は幸せに浸っていた。


花火みたいな、儚き幸せに。