たった0.5ミリの芯でさえ 素直に気持ちを表現できるというのに。 シャーペンから紡ぎ出せるのは 余弦定理の式や古代ローマの偉人や英単語だけではないはずなのに。 鏡はため息をついて消しゴムを手に取った。 シャーペンの文字が消えていく。 これでいいんだと、自分に言い聞かせる。 シャー芯をしまって机に置く。 テストの終わりを告げるチャイムはまだ鳴りそうになかった。