side:美碧

自室のベッドに横たわりながら、私は大好きな彼とラインをしていた。もう毎日のことで習慣的になっているけど、それでもぽかぽかとした温かさは消えなかった。
少し薄暗くなった部屋の天井を見上げると、すぐに彼の顔が浮かんだ。
(…ベタ惚れだなぁ。もう。)
こんな自分に呆れてはいるものの、嫌いにはなれない自分の感情だった。
彼の姿や顔が目を閉じたら、浮かぶ。ちょっとくせっ毛のある天然パーマで、だけど柔らかい髪質の栗色の髪。まつげが長くて、紫色の宝石のようにきらめく目。
何度思い出しても顔がニヤける。そして、気持ちがホクホクする。

(…好き好き大好き!理玖だいす…
 好きすぎて自分が変に思えてきた…)

すると、一階から弟の声が聞こえた。

「姉ちゃん。晩飯できた。下りてきて。」

声が届くように少し大きく答えると、綾人の気配は遠くなっていった。
私の家では弟の綾人がご飯を作っている。
私は料理が苦手というか不釣り合いというか…向いておらず、キッチンには立たせてももらえなくなってしまった。

下に向かおうとして、彼からのラインが来た。早く中身を見たい気持ちを抑えて、携帯をポケットにいれ、階段を下りていった。