早朝に聞こえるフクロウのような鳴き声は、実はハトのものだと最近知った。
 けど大の字に伸びた私の耳にはかすれた自分の溜め息しか聞こえない。
 「...........................................」
 誰?もしかして溺れる哀れな私を救ってくれた救世主デスカ?
 「うわっ!」
 ゴンッ!
 「「いっ!」」
 突然のことで分からないだろう。解説するとこうだ。
 目を開けるとそこには子供のあどけなさが残る容姿端麗なお美しい......はあ、潔くストレートに言おう。超ウルトラスーパーミラクルイケメンフェイスがあったんです。そりゃもう、妖艶とか端麗とか難しい言葉を選んでるよりも、すぐに思いつく頭悪そーな言葉でマシンガン賞賛したいくらいに。
 そんな顔が数センチ先にあれば驚き顔をあげるのは必然。おでこ同士をぶつけるのもまた必然。
 「で、君だれ?」
 地に這う影と、逆光で垂直に伸びるのシルエットの2つ。けど、真っ先に頭に浮かんだ疑問は1つだけ。
 袴?
 「ねえ聞いてる?斬るよ」
 「は、はい!何でしょう!」
 死ね、殺すぞとかいう脅し文句は世界で広く流通しているが、具体的な殺害方法を口にするのはこの時代なかなかない。せいぜい撃ち殺すぞ程度。
 「もう一度だけ聞くよ。君は誰?まさか長州のかんじゃ?」
 「私はあまり風邪はひきません」
 「.............それは患者。僕が聞いてるのは間に者の方。」