平誠組 

 「トシ、何もそこまですることないだろう」
 きた、救世主!やっぱりどこの時代も小説も局長は優しい設定。
 だが、そんな感動的発言をよそに引っ張られていく私。まずい、このままだとこの先一生お日様を、いやこの先の人生が拝めなくなるかもしれない。
 こうなればあれだ。数多の未来女子が幾度ともなく切り捨てごめんから逃れてきた秘密のアッコ、じゃなく鬼ちゃんの秘密大暴露戦法。
 「梅の花ー!一輪咲いても梅は梅ー!」
 冷たく適度に湿った空気を肺に満たし、大きく開いた障子の間から両脇を抱えられているという奇妙な体勢から叫んだ。
 コンサート会場なら拍手喝采。住宅街なら迷惑喝采並み。
 そんなこんなでの一句は効果覿面、騒々しい空気を一掃するが如く静まり返る......のを通り越し停止した。
 私を連れ出そうとする二人組も、鬼の形相で佇む副長も、慌てて止めに入ろうと片膝立てる局長も、無意識にイラつかせる程やかましかった鳥の囀りでさえ.............
 見事なタイミングで日が雲に隠れ世に影を落としてもなお動かない。
 仕方ない、停止ボタンが押されることになった原因は私の言動。私が再生ボタンを押しましょう。
 実際はもっと沢山の句があるが、生憎さっき詠んだ句以外は覚えていない。でもまあいいか、ボタンを再び親指で押すか人差し指で押すかの違いだ。
 さあ皆さんも一緒に
    リピート アフター ミー