青い空、白い雲、そして輝く太陽。
 現代人はスマホの影響で常に地面へと目線を下げている。いつの間にか自分達の頭上にこんなに綺麗な空があることを忘れがちだ。
 そして、今私の目の前に立ち並ぶ方々もその内の人間。ギラギラ、ジトジトを足して2で割ったような10の目線は上に放射せず私に突き刺さっている。
 さっきまでスマホで一喜一憂していたくせに私を見つけたとたんこれ。一度でいいから顔を上げてみなってぇ、アプリで揺れてた心がどれだけ小さいか分かるからさぁ。
 「明水、お前また来たのか?相変わらず懲りない奴だな」
 「あんたが来るとこの学校の空気が汚れるのが分からないの?」
 「ブスのくせにいっちょ前に制服なんか着るなよ。ハズカシ~イ」
 「「そうだ、そうだ」」
 どうだ参ったか!とでも言いたいのか、大きめの胸を精一杯仰け反らせている。
 落っこちたらエレベストの大崩落を拝むことにな....あり?
 目の錯覚か蜃気楼か、些かお胸がズレたような....
 「坂ちゃん」
 「きゃっ」
 隣人にたしなめられ慌てて隠すが時すでに遅し。いつの間にかセットされていた試着室ケースにえっちらおっちらどっこしょと運ばれていく。
 もしかして、もしかしなくてもパッ.............いや深く追求するのは止めておこう。それがせめてもの武士の情けだ。
 う~ん、いじめっ子に対してなんと寛大な心。
 とまあ朝っぱらから学校の校門前で理不尽な罵倒の数々を浴びせられている私は明水紡恵(あけみず つむえ)年:15歳 性別:女 誕生日:7月28日 A型で獅子座で寅年。高校入学して3ヶ月目の成り立てほやほやの高校生。