野球のボール

あの日が、私の最高の日となった。

時は4月。

今日は、入学式。

嫌いな人とも居なくなったし、気分は上昇。

私の名前は、咲谷姫夏(さきたにひめか)。

1年A組。女子で一番モテモテ。ナンバーワン女子。でも、こんなこと言えるのは今だけなのかもしれない。

この話はある放課後の事だった。

「帰ろっと!」

思わず声が出た。

「あのさぁー」

いきなり声を掛けられた。

「あっ私?」

「そうだけど…」

「なんですか」

「あのさ、お願いがあるんだけど。」

「なんで、私?」

姫夏は思わず「はっ?」って言いそうになった。でも、そんなこと言ったらナンバーワン女子じゃなくて、ビリ女子になっちゃう。まず、誰って感じ。姫夏は思い切ってきいてみた。

「ねぇ、あんた誰?」

失敗した。「あんた」って言っちゃった。終わった。

「お前、同じクラスなのに人の名前も覚えてないの?」

「別に、覚えてなくても教えてもらえば良くない?」

「お前ってナンバーワン女子とか言われちゃってるけど、裏表があるんだな。こんなことバラしたらお前、終わるな。」

「えっ!っていうか、まず名前を教えて!」

「俺は、川崖輝人(かわぎしきらと)。」

「ふーん。で、お願いって何?」

「野球部のマネージャーになって欲しい。」

「はっ!?絶対いやだ。」

絶対いやだ。だって日焼けするし部活なんてやりたくもない。

「じゃあ、あの事バラすよ。」

「はぁー?別に関係ないじゃん。」

「じゃあ、バラす。別に今日じゃなくてもいい。期限は明日まで。じゃあ、宜しくな。んじゃ、また明日。」