「………っよし」
私は榎本くんの後を追いかけた。
「榎本くんっ!待ってよ!」
榎本くんは呼びかけても一切無視だ。
どうしちゃったの……?
私なにかしちゃったかな……?
榎本くんを追いかけているうちに、体育館に着いた。
「榎本く……」
体育館裏に入る角を曲がろうとしたときだった。
榎本くんが誰かと話している。
私はとっさに陰に隠れる。
「お前、学校に迷い込んだんやな」
「にゃー」
………“にゃー?”
もしかして、榎本くん今……。
猫と話してる……?
少し覗いてみると、榎本くんは猫を抱っこして撫でていた。
その姿がなんだか可愛くて、キュンと胸が高鳴る。